定年とギター屋さんのご主人のお話

健康

先日、日本にいる家族と話をしていて、定年についてちょっと考えた。
妹の旦那様が私と同い年だけれど、もう日本だと定年。彼はその後も引き続き再雇用され、お仕事をされて忙しくされているけれど、そういう年なんだ~って思った。

今はベルギーでは定年67歳。
昔は日本と同じ60歳だったんだけれど、10年くらい前に65歳まで伸びた。多分3年くらい前にさらに67歳まで延長になった。
多分ベルギーも年金、そんなに出せないよ~って言ってるのかな?。

でも、近くにいるベルギー人を見ていると、定年前に退職するPre-pensionを取っている人を割と多く見かける。
彼女たちの言い分は、年を取って動けなくなる前に定年退職して自分の時間を楽しみたい♪、らしい。
もうよぼよぼになって定年を迎えても好きな所もいけなくなったら、せっかく今までがんばって働いてきた甲斐がない。ともかく、あちこち遊びに行って、好きな事をする時間を確保したい、って人が多い。

欧州でPre pensionを取る人が多いのも、元気なご老人たちが多いのも、日本みたいに仕事ばっかり、ではなく、プライベートもしっかり楽しむっていうお国柄(っていうか、仕事もそこそこいい加減笑)かもしれない。

退職後はスペインに住む、とか、海外移住を考えている人達も多い。語学も達者なベルギー人はバカンス中に語学を習得する人も少なくない。それに、ベルギーは天気が悪いのがみんなの不満の種。
暖かい土地に行きたいオーラはすごい。

そうそう、主人がご用達のギター屋さんHills Musicというお店がグランプラスの近くにある。そこの御主人がとても明るくて気さくで、ギターをよく知っていて、みんなから愛されるキャラの人だ。
彼はギターの目利きが素晴らしく、自分でスペインまで行ってギターを仕入れてくる。
若い頃からやっているので経験も豊富だし、リーゾナブルなお値段で売っている。安いギターでも、そこそこの音色を出すギターを揃えていた。

子供たちの背丈がまだテーブルにも満たないくらい小さい頃からお付き合いしていて、ご主人も息子さんがいて、まだ学生の頃からよく見かけていた。無口だった彼が時々お店を手伝いはじめ、お客さんとも和やかに話ができるようになり、私たちの娘ちゃん達もバイオリンを習いはじめ、Hills Musicで小物を購入しに行ったりしていた。お互い子供たちが大きくなった、って話題でいつも盛り上がっていた。

そのご主人が(もう10年以上も前の話だけれど)、自分は18歳から仕事をしてきた、だからもう55歳でプレ・ペンションを取って仕事を終え、自分の第2の人生を楽しむんだ、って言った。

これはちょっとびっくり。あのご主人があのお店にいない姿が想像できない。
それくらい、彼がそのお店を切り盛りしていて、どんなお客さんも笑顔にする絶妙な応対をしていた。ともかく話が上手い。その上ちょっと職人気質だ。小さな点でもキチンと調整してくれた。彼がお店にいないのは寂しすぎる。でも、まあ、わかる。長く働いてきたんだから。ゆっくりしてね。って思っていた。

それから数年後にお店に行くと、まだご主人はお店にいた(笑)
どうも、一度は引退して、釣りなどを楽しんでいたらしいのだが、やはりお客さんとのコミュニケーションがないと寂しかったのだろう(笑)また、時々お店に顔を出しているらしい。

それから、奥様に先立たれる、という不孝に見舞われ、やや落ち込んでいた。それもお店に行った時にご主人から聞いたお話だ(笑)。

そのうち、新しい連れ合いの方を見つけ、うれしそうにまだ仕事に精を出していた。
その後も時々、思い出したようにお店に行くと、段々お年を召して来たご主人が、元気そうににこにこして迎えてくれた。

お店が数年前に写真の場所から移転した。無精者の私たちなので、用事もなくすっかりご無沙汰だったけれど移転祝いにワインを持ってお祝いに行くと、もう90歳近い年齢になったご主人が嬉しそうに対応してくれた。泣きそうになるくらいちょっと感激してしまった。

私も主人も、お店に行った時にご主人と会えると嬉しくて頬が緩むんだけれど、「誰やねん。55歳で引退する、って言ってたのは!」って心の中で突っ込みを入れている(笑)

 

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