ベルギーに初めて来た頃、パン屋さんのパンの美味しさに感激した。
毎朝、焼き立てのパンを買いに近くのパン屋さんへ通っていた。
ベルギーでは菓子パンの事を「クック」って呼ぶ。
なので、
クック・オ・ショコラ、(チョコパン)
クック・ア・ラ・クレーム(クリームパン)、
クック・オ・ブール(バターパン)
と言う感じで使う。
次につく「オ」か「アラ」は後に来る名詞が女性名詞か男性名詞かによって変わるだけなので、意味は同じだ。(女性名詞か男性名詞か見分けるのが大変なんだけど、ね。)
この近所のパン屋さんに毎日通って、必要性と実益を兼ねてパンの名前を覚えて行った。私のフランス語の原点だ(笑)
パンの種類はたくさんあって、菓子パン系だと、
上の3つ以外に皆さんおなじみクロワッサン
クック・スイス(スイスロールを切ったようなパン。干しブドウが入っている)
トルサード (捻じれたパン、クリーム、干しブドウ、チョコなどパン屋によっていろいろ)
ブル・ド・ベルラン(クリームの入った揚げパン)
ゴゼット (果物のジャムを挟んだパン。アプリコット、チェリーなど選べる)
ショッソン・オ・ポム (ゴゼットと同じ。アップルパイ)
マトン(パイ生地の中にアーモンドペーストのクリームが入っている)
甘いパン系だと
クラミック (ブドウパン)
クラックラン (砂糖の粒の入ったパン)
パン・ア・ラ・グレック (砂糖をまぶした軽い焼き菓子)
などがある。
初めてのフランス語だったので、ワクワクしながら覚えた。この後引っ越しをして他のパン屋さんに行っても、新しいパン屋さんに新商品があったりもしたけれど、どこでも大体同じ品ぞろいで注文に困る事はなかった。
ところが。
これがフランスに行くと私の原点のフランス語が(?)通じないことがある。(笑)
まず「クック」は言わなかった、これはベルギーだけらしい。
オランダ語もクックっていうので、多分ベルギーはオランダ語と合わせてクックって使っているのだろう。
なので、私が日常的に買っているクック・オ・ショコラは「パン・オ・ショコラ」って言う。
ところが、なぜかゴゼットも通じなかった。
クックはまあ、わかる。ベルギーだからな。って思ってたけれど、ゴゼットは完全にフランス語だと思っていたので、びっくり!!
関係ないけれど、関西弁を標準語だと信じていて、通じなかった時の驚きに近い(笑)
「めばちこ」は完全に標準語だと思っていたので、「めばちこが出来て、」って言ったらめちゃ笑われた事があって、その時はじめて「めばちこ」は標準語ではなかったんだ、と本当にびっくりした。
それと同じで(同じか?)フランスに行った時にパン屋さんで当然のごとく、「そのゴゼットの中身は何?」って聞いたら「パルドン?」
だからー、「セ・オ・ポム?アプリコット?スリーズ?」(中身はリンゴ?アプリコット?チェリー?)
「オー、エーバン、セ・ショーソン・オ・ポム・・・こっちはリンゴで、向こうのはチェリーよ。」
全部ショーソンなんや・・
ベルギーだとショーソンはポム(リンゴ)だけれど、他の果物は大体「ゴゼット」って言う。
面倒なので全部ゴゼットで通す場合が多いような気がする。
「クラミック」もダメでこれは「ブリオッシュ・オ・レザン」らしい。確かにブドウパンなんだけれど、ベルギーではなぜかクラミックって呼ぶ。
私のフランス語の原点(笑)なので、どうしても「いやいやクラミックでしょう」って思ってしまう。
多分他にも通じないのがたくさんある。
同じフランス語なのに、ちょっとしたカルチャーショックだ。
Boule de Berlin(ブル・ド・ベルラン)も意味だけ見ると「ベルリンのボール」何のこっちゃら?!
これは真ん中にクリームを挟んだ揚げたパンで、美味しい!どこのパン屋にもあるし、ベルギーではこの名前で売られている。フランスに行くと、「ベニエ」って注文するようにしている:-)
Maton マトンの美味しさを語らせたら、このページ1ページ分くらい書けそう!
それくらい美味しい。パン屋さんにもよるけれど、美味しいパン屋さんのマトンは本当に美味しい!(語彙が少ない・・・)
外側のパイ生地がバリっとしていて層を成していて、中のクリームのアーモンドペーストが適度に柔らかく、フワっとしていて、コクがあって、外側のパイ生地と合わさって丁度い上品な甘さとコクと風味を出す。
めっちゃ美味しいんだけれど見ての通り、パイがあり、アーモンドペーストがあり、で、きっとカロリーはかなりいきそう。食べ過ぎに注意だ。
逆にベルギーにはないけれどフランスにあるものもある。
ベルギーだとバケットはバケットしかないんだけれど、フランスのパン屋さんにはフルートとかパンとか色々分かれていて、パンの種類や品ぞろえもちょっと違っていたと思う。
旅先で美味しいものに出会うのもうれしいし、新しいものを発見するのも楽しみの一つだ。
同じフランス語を使う国なのに、面白いなあ。